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私たちのエッチな体験談。短編集。

第4章 四人目

『理想?

理想というのは、人それぞれが望むことで、別に否定するつもりもない。

だが、理想というのは、これ以上ののぞみはないという意味も含まれている。

僕を理想にするのも勝手だが、僕も人間だ。

完璧ではない。

そういうのも知らずに理想にされるのは…。』


『ふふっ。』

『何が面白い?』

『じゃあ…んー。

湯川先生みたいな人がタイプって言えばいいですか?』

先生は何も言わずに黒板とにらめっこしていた。


『湯川先生のタイプの女性はどんな方なんですか?』

『最低でも、相対性理論とアインシュタインポトルスキーローゼンのパラドックスを知ってる女性なら話も弾むだろう。


あとは…


君みたいに美人だったらいい。』

ーードクン。

専門的な言葉を並べ、そんな真剣な顔で言われたら…。

『お世辞でも嬉しいです。』

私は湯川先生の顔が見れなくなっていた。

だって…


真剣な目で見てくるから…。

『お世辞じゃない。』

ーードクン。

『江川君は、相対性理論は?』

『すみません…。

相対性理論もアインシュタインポトルなんとかも分かりません…。』

『アインシュタインポトルスキーローゼンのパラドックスだ。』

湯川先生は、私の

[分かりません]

を聞いて興味を無くしたといった感じでまた黒板とにらめっこしていた。

それがなんだか…。

寂しくて…。

私は湯川先生の側に行き裾を掴んだ。

『湯川先生?

分からないから教えて?』

上目使いで話す私に先生は何も言わずに私にキスをしてきた。

優しいキスを…。

『江川君。

君は実に興味深い。

今まで会った人はそんなこと言う人はいなかった。』

『私、湯川先生のお話を伺った時から気になってたんです。

お会いしたら素敵な方だから…。

もっと…。

湯川先生のこと…。

教えてください。』

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