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パパとママのタカラモノ。

第5章 病の発覚。

「そこで一つ提案があるのですが‥。『兵庫こども病院』という、小児専門の医療機関があります。完全予約制になりますが、そちらの眼科に有名な先生がいらっしゃいます。1ヵ月検診の際に、紹介状を用意させて頂くのと、ついでに頭のレントゲン写真を撮らせてください。」

「頭にも何か問題があるんですか!?」


義理のお母さんは
私が聞く前に全て聞いてくれました。


「頭の骨、頭蓋骨ですね。その頭蓋骨は通常、開いているのですが、段々閉じてきます。ですが風真くんの場合は、同じ位の子と比べると、開いている隙間が大きく、私達医師はそのことが気にはなっています。」

奈央「閉じないと、何らかの支障が出てくるんですか?」

「まぁ、これといった支障はありませんが、頭のてっぺんが柔らかく、転倒した際等に脳挫傷になる可能性も、ないとはいえません。」

奈央「そうですか‥。」

「それと、右心房に穴が開いています。小さな穴ですが、血液が逆流しているのが問題ですね‥。」


ちょっと待って..
頭の悪い私には理解できない。


「逆流って‥!!」

「穴が閉じてくれれば、何ら問題はないのですが‥。」

奈央「分かりました。」


私と智ちゃんは妙に冷静だった。
お母さん達の方が涙を堪えてる。

――というのも現実味がなくて、
風くんの目が見えないかもしれない。
最悪一生‥。

そんなこと急に言われても
受け入れられる筈がなくて
ただただ先生の話を頷きながら聞くのみ。

涙は一切出なかった。
先生に詰め寄ることも、
ドラマみたいに
泣き崩れることもなかった。

だって余命宣告された訳じゃ
ないんだから‥‥。

命に別状はないんだから
もしかしたら治るかもしれない。
医療も進歩しているし。


と、この時までは思っていた。

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