
パパとママのタカラモノ。
第2章 妊娠発覚。
「先生、お願いします。」
看護師さんの一言で、
おじいちゃん先生がやって来た。
「失礼します。」
カーテン越しに静かに座ると、
「やっぱり出てたねー、妊娠反応。ちょっと痛いかもしれないけど、我慢してねー。」
やっぱり嘘じゃないんだ‥
妊娠してるんだ‥
私のお腹には赤ちゃんが――
奈央「痛っ‥!!」
グリグリと何かを押し込まれた。
「ごめんねー。これ使って赤ちゃん見るから‥。」
服をギュッと握り締めて
痛みに耐えてた。
「○○さん、これ分かる?」
声を掛けられ
頭上のモニターに目をやると、
「あー大丈夫。赤ちゃんいますよ。今5週と2日ですね。」
5週‥ってことは
1ヶ月と少しってこと?
「ほら、これが赤ちゃんの袋。心臓動いてるの、分かる?」
あまりよく分からない‥。
「順調ですね。じゃあ診察室へ移動してもらえるかな?」
内診台が閉じて
下着を履いて診察室へ行った。
「ご出産は当院でされますか?」
奈央「えっ‥?」
「産まないんですか?」
先生の余計な一言で
側にいた数人の看護師さんが
集まってきた。
「え、産まないの?」
「考えてる暇はないよ。」
「今も育ってるんだから。」
奈央「大丈夫です‥。産みます‥。」
私がそう言うと、
「あ~良かったぁ。」
「やることやって
産まないっていう若い人が
最近増えてるから‥。」
勝手なことばかり言われたけど
正論だから黙ってた。
そのあと先生に
子宮内の写真をもらった。
「次は1週間後来てください。」
まだ頭が追い付いていかない‥。
「「おめでとうございます。」」
診察室から出るとき
数人の看護師さんから言われた。
―けど、私は何も返せなかった。
待合室に戻ると
智ちゃんが携帯で麻雀をしてた。
(男は呑気でいいよね‥。)
その言葉を飲み込んで、
奈央「お待たせ。」
智也「あ、いいよ。‥で、どうだった?」
奈央「うん、赤ちゃんいたよ‥。5週と2日だって‥。これ、写真。」
手汗がヤバい。
