
この手を離さないで
第11章 第十一章 3年分の思い
…は?
「…陽?
お前何バカな事言ってんだよ!
冗談にしちゃ酷すぎんぞ?」
「冗談じゃねーつってんだろ!!
今うちの病院の救命が現場に向かってる。
そのうち、怪我人が運ばれて来るだろーから、俺は手がはなせねぇ!
だから、」
陽の話を最後まで聞かずに、俺は走り出した。
「おい、尚!どこ行くんだ!」
おっちゃん達の叫ぶ声も今の俺には聞こえない。
柚希。柚希っ!…柚希っ!
頼むから、お願いだから…。無事でいてくれ…!!!
車に乗ってラジオの事故中継を聞きながら、俺は柚希の元に急いだ。
