テキストサイズ

優しくしないで

第12章 青空に…煙り


『……わからない…

前にも…後ろにも…動けないんだよ…


…私は…』





そう…私は…



昔も今も…


最低な人間のままだ…





「…留美ちゃん…


…太一君を忘れろとは言わない…


でも、太一君に…縛られてはいけないよ」




『…仁さん…』



仁さんは…私の太一への後悔を知った上で…


縛られてはいけない…と…


言ってくれている





でも、太一への…残酷な呪文は…


跳ね返り…自分の気持ちを絞め上げる…




後悔ばかりが…目の前の未来を…



また暗く塗り潰す…





あの、涙の家族を忘れてはいけない…



心に重荷を背負わせ…死なせてしまった太一のために…




幸せになってはいけない気がした…






後悔ばかりで…前に進む…資格がないとさえ…感じてしまう…





「留美…おまえと、太一の間に何があったかは聞かない…

でも、太一は留美を陸上に戻したがっていた…

どんな形でも…陸上と関わってみないか?」




太一が…私を…陸上に…



『…私…もう…走れないよ?』



「…知ってる…
でも、太一は諦めてなかった…」




『私…』



「留美ちゃん…落ち着いて考えな?

後悔しても…罪は消えないと思うなら

その罪と…生きていく方法を考えるんだ…」







仁さんは…
ギュッと私の手を握った






罪と生きていく…




ストーリーメニュー

TOPTOPへ