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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第2章 揺れる、心

 しかし、妃たちにとっては国のためというよりは、〝誰が最初の王子を生むか〟といった観点に最も関心があるようだ。殿下もお気の毒に、あれでは、大王大妃さまの仰せのように〝殿下をお助け〟するどころか、醜い妬心を剥き出しにして、つまらない諍いを繰り返して殿下を悩ませるだけ―〝脚を引っ張る〟だろう。
 そう考えてゆくと、王室もこの国の未来も暗澹たるものだ。
「ちょっと、そこの女官!」
 いきなり大声で呼びつけられ、百花はハッと我に返った。

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