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ダーリンは12歳年下〜遠恋の果てに〜

第7章 2000年:小さなひび割れ

だけどもその時期のあたしは、尚一層の苦痛も同時に味わっていた。



夫からの暴力。
ホントに酷かった。



離婚の話、生活費の話、子供の話、食事の話、

ほんの些細な事でも口論になり最後には必ず殴る蹴るに至る。



『く…苦しい……』



このままじゃ、ほんとに殺される!
あたしの首を絞める夫の手に爪を立てた。



『痛っ!よくも…このやろう!!!』


ガツッ!

ボコッ!


夫から何度も体中にパンチやキックを浴びせられる。


そしてあたしは床に倒れ込んだ。


それでも、あたしを蹴ってくる夫から身を守ろうと傍らにあった洗濯かごを盾に防御した。


『もうやめてよ…』

『やかましい!!』



あたしから力ずくで洗濯かごを奪い、それで容赦なくあたしをたたきつける夫。


酒に酔って暴れる夫の暴力はどうやったって止められない。



バリバリッ


『うぅっ!』


足先に激しく激痛が走る。

見る見るうち足先が赤く染まっていく。



あたしの足の爪は夫の振りまわす洗濯かごの縁に引っかかって根本からごっそり剥がれ落ちたのだった。



『痛ぁ……』


あまりの痛さに声が出ない。


その時、


『ママ!!』


学校から帰ってきた娘の声がした。


『もう、やめて!!』


泣きながら訴える娘。

そんな娘にも夫は捲し立てる。


『うるさい!おまえは黙ってろ!』



ひどい父親だ。

いや…
こんな男、もう父親でもなんでもない!



血でにじむ足を引きづりながら娘と2人手を取り合ってゆうタンの元に必死で逃げた。


その時、娘があたしに泣きながら言った言葉が今でも忘れられない。



「ママ、もう離婚して…」

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