
雨の人
第10章 嫉妬
私の胸が
大きく跳ねた
動揺して
お店の前を
川村さんの前を
通り過ぎてしまった…
少し離れて車をとめ
携帯を握りしめた
大丈夫
お店の女の人だよね
なんでもないよね
気にしない気にしない
私は
妙な胸の高鳴りを抑えながら
川村さんの携帯に電話をかけた
「か、川村さん?」
「あ、あ~ゆきちゃ~ん」
「あ、あのね、
お店のちょっと先に
車停めちゃって…
あの…
見える?ゆきの車。」
「あ!見える見える。
そのまま待ってて
すぐ行くから」
川村さんを見ると
こっちに手を
大きく振っている
でも、その隣りには
川村さんの肩を抱く
女の人が立っていた
