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泣き虫.

第1章 命日





ぶわっと、風が舞って、私を包んだ。

「ひ…ぁ…」

驚いて言葉も出なかった。
死ぬ事がこんなに、重い事とは、わかんなかったから。


「…だから、言ったろ…?」


手をつかんでいる、あの、男の手が私を優しく、引き上げた。
目をつぶって下も向けない私に、男はぎゅっと強く抱きしめる。



こう言うのはどうも、苦手なのに……


___なんか、心地よくて…。




「……。」


自分がどうしようもなく、情けなかった事。

飛び降りたら、もうない私の命が、
蘇ったこと。




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