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ロイヤル&スレイヴ!

第4章 3.ウワサのあのコとあの4人



「あれ、違うの?」

「……っ、ちくしょ。ムカつく顔しやがって」


意外と暁くんは物事をズバズバと言っちゃうタイプみたいで、

猛くんは口を紡いで顔を引きつらせていた。


そんな様子を横目でちらりと見たのは、

猛くんの隣を歩く、楓くん。


鮮やかなピンクのうさ耳パーカーのフードを被った楓くんは、ぴょん、とその場を跳ねてみせた。


「タッキーも猛ちゃんもこれには言い返せないよねー。
危うく未結が不躾なヤローどもに汚されちゃうトコだったんだから」


またもや、ずばりと切り込む発言が飛び出す。

可憐なうさぎは、意外なナイフの持ち主だ。


う、と声を漏らすのは、暁くんの隣を歩いていた滝くんだった。


「ほんと……申し訳ない」


背中を丸め、今にも消え入りそうなその声からは、
先ほどの覇気を微塵も感じさせなくて。


「――ま、タッキーや猛ちゃんばっかを責めらんないんだけどさっ。
僕なんか、未結があんな目にあってるなんて想像もしてなかったんだから」


折角被ったフードをすぐに頭から払ってしまった楓くんは、溜息を落とす。


その悲し気な横顔は、痛みを堪えているようで。

「未結がこない、未結がこないって騒いでる二人見て、馬鹿じゃないのって冷めてたくらいだし」


お間抜けなのは僕も一緒、と、
楓くんは私の顔を覗き込んでは自嘲気味に笑った。

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