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ロイヤル&スレイヴ!

第4章 3.ウワサのあのコとあの4人


「ね。歪んでるでしょう、この学園」

声とともに、ピシャリとドアの音がした。
音の方向につられて顔を向けてみると、視聴覚室に残っていた恭介くんの姿があった。
私と目が合うっと微笑み返してくれる。

「お、恭介。もう終わったの?」


尋ねたのは、暁くんと同じく、壁にもたれ掛かっていた猛くんで、
背中を浮かせるとひらひらと手を振った。

「ええ、あらかた片付きましたよ。あと、斎宮さん含め僕たち午後の授業、免除の申請出しておきました」

そういって、恭介くんはコツコツと足音を響かせ滝くんの隣までやってくると、
ゆっくりとソファに腰を沈ませてから、言葉を続けた。



ん?待って。


恭介くんさっき、午後の授業、って言ってたよね。



授業、という単語が、私を現実へと一気に引き戻す。

そうだ、授業。


「あ、わ、私、授業出なきゃ――」

壁掛け時計に目をやるとお昼休みはとっくに終わっていて、既に授業が開始されて10分は経過していた。


奨学金制度で転入した以上、授業をサボるわけにはいかなかった。

そう思うや否や、私は高級感あふれるソファから腰を浮かせ、立ち上がる。


少し気怠さは残るものの、もう身体は自分の意志通り動いてくれた。


「はい、未結落ち着いてー?」

立ち上がった私は、生徒会室を後にして走り出す……ことは出来ていなくて。

楓くんによって手を掴まれていた。


慌てる様子なく、楓くんは大きな瞳で見つめては私を座るように促す。


「さっき恭介言ってた通りだからさ。授業免除の申請しておいてくれたって。大丈夫。授業はサボったことにならないよ」

続く滝くんも、ソファに座ったままほほ笑む。

壁にもたれている暁くんと猛くんを伺ってみても、特に慌てた様子もない。


よく、わからないけど、これもロイヤルトップの特権ってやつなのかな?


楓くんに腕を引かれるまま、私はとりあえず腰を下ろした。


「あの、授業免除って…?」

まさに恐る恐るといった様に私は尋ねる。

たとえ特権を与えられるとはいえ、生徒の都合で授業免除なんてできるの?なんて、小心者は不安なんです。

「気にしないでいいよ、未結。恭ちゃん達わりといつもこうやって授業サボってるから」

い、いつも?

明るく答える楓くんに私は驚きを隠せない。

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