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この前、人を拾いました

第91章 ⑨ー1 ドライバーはクレイジー


いたたたた



頭痛がして、私は目を瞑った。



だめだこりゃ。



身体が思い出すのを拒否してるよ。



「よく分からないけどいいと思う!」



私が無責任にそんなことを言うと、おばあちゃんはそうかあっと頷いて私に手を伸ばした。



あー…


あと少しで楽になる…



あと少しで…




「…きちゃんっ!」




ん?



どこかで声がして、私は振り返った。




気のせい…か…




「みきちゃん…早くおいで…」



「あ…うん」



おばあちゃんの方に手を伸ばして、下に流れる川を跨ごうとした。



あー。


なんかやっぱ私大事なことを……



「みきちゃん!!!!!!!!いつまで寝てるんだ!!!!!!起きろぉおおおおおおお」




うわっ、うっさっ!!



「な、なに!?一体だれ───」



「起きないと寝込みを襲うぞぉおおおおおおお」



美しい世界に


こだまする甲高い声……


あぁ…




そうだった…




「………ごめん、おばあちゃん…」


「どした?」



「他の人に迷惑かけないためにも、戻らなくっちゃ…」



「そうか…じゃあもう少し待ってるよ」



おばあちゃんはそう言って笑うと、すぅーと姿を消した。



え!?



ちょっ、おばあちゃん!?





驚いたのと同時に私の意識は遠のいていった────

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