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生きたいです

第4章  優しさ


 球技大会も無事終わり私たちはリビングにあつまっていた。

 「うぅー。どうして私が負けるのよ!
  ありえない」

 決勝戦で辰樹たちのクラスと当たり負けた。

 62対60で。

 しかも、最後に点を決めたのは辰樹。

 「約束通り俺とデートしよ?」

 顔をにやつかせながら辰樹がいう。

 『それ、どういうこと?』

 いきぴったりに寛也と龍太が聞いてくる。

 それも、真剣な顔で。


 「俺との勝負に負けたらデートするって約束だったんだよ」

 「はぁ? そんなのずるい。
  俺ともデートしよ?」

 「俺だって優香とデートしたい」

 そう、寛也と龍太が子どものようにおねだりしてくる。

 負けたのに嫌な気持ちにはならない。

 きっとみんなのおかけだよ。

 こうやってそばにいてくれるから。
 
 悔しい気持ちはあるけどね。

 
 でも。


 たった一人だけこの場にいない。










  達哉だけがいないのだ。

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