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僕は絵しか描けない

第12章 未完成のまま、僕は

詩子さんは結局安立さんの誘いを断った。

僕とでなきゃデビューする意味がないと言って。

安立さんは『待つ』と答えたらしい。

それは僕が魅力的な絵を描けるようになるのを待つのか、詩子さんが諦めるのを待つのかはわからない。

しかし今の僕にできるのはただひとつだ。

作画をすること。


詩子さんは新しいネームを考えていたが、僕はデジタル式温州みかんに拘った。

作画が駄目で落選した作品を書き直し、安立さんに認めてもらいたかった。

詩子さんが帰ったすぐあとから、僕は作画に取り掛かった。

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