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アランが出ていくと
部屋に静寂が訪れた。

耳をすますと
月花の寝息が微かに聞こえてくる。


「月花様が起きる前に
着替えの準備しておこうかな」


クローゼットから夜着と、
湯あみ後に月花が好んで付けている
香油を取り出した。

まとめてソファーに置くと、
ユーリは月花の眠るベッドに腰掛け、
静かに寝息をたてている月花を
じっと見つめる。

ユーリにとって月花の寝顔をみるのは
珍しいことではなかった。

毎朝彼女を起こすのは
執事足る自分の役目だからだ。

彼女が起きていて
自分を迎えてくれることの方が
少なかった。


「お酒はなるべく控えてねって
言ったのになぁ」


くすっと笑い、
そっと月花の頬に触れようとしたその時、
ユーリの目に普段見慣れない光景が
飛び込んできた。


(え……)


パーティに行く前は無かった“それ”に
ユーリは目を細める…


(…これって……)