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近くて遠い

第14章 異変

──────…

フワッとベッドが浮いた感覚に目を覚ました


「ん………」


身体に響く心地よい疲労感…。


えっと…

どうしたんだっけ私…


ボーッとしながら微かに聞こえた物音の方に顔を向けた。


朝日に照らされた凛々しい背中が目に入ってハッと息を飲む。


「ん…起きたか…」


「有川様…」


前が開いたままのシャツから覗く筋肉。

振り返ってポツリと吐かれた彼の呟きに、急に恥ずかしくなって布団に潜った。


そうだっ…
私昨日…有川様と…


甦る官能的な時間に顔が一気に紅くなるのを感じた。


「なんだ、恥ずかしいのか」


「っ……」


布団越しに響く低い声のせいで余計に心拍数が上がる。


ゆっくりと布団から目だけを出すと、
その深い瞳がしっかりと私を捕らえていた。


「仕事にいく。
身体がだるかったら寝てろ。」


私の額に手を添えて、有川様はそう呟くと、ベッドから降りてしまった。



「あっ…」



「どうした」



変わらず優しい有川様に胸がキュンとして苦しい。



「あの……母に…母に会ってくださってありがとうございます…」



昨日それを伝えたくて、


そしたらメイドさんとの情事を目撃してしまって、

取り乱したせいでうまく伝えられなかったから…


「……気が変わっただけだ。特に深い意味はない。」


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