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よく理解が出来なかった。

シリョクヲウシナッタ


それはもはや言葉ではなく
ただの音として要の耳に入った。



「よく、意味が分かりません。」



要は正直にそう言った。


すると、医師が要の肩に手を置いた。



「要さん…あなたは


失明したんです。」



失…明……



そうだ。


その通りだ。


今自分の前に光がない。



あるのは暗闇だけ…



失ってしまった…明かりを…。



要はひどく冷静だった。


「斎藤は…」



要はゆっくりとその晩の事を思い出していた。


有川社長に呼ばれて…

斎藤と共に会社に向かった…


「彼は…まだ目覚めてない。集中治療室に入ってる…」


「そうですか…」


父の声に、要は目を瞑って答えた。


「雨がひどく降っていてね…お前たちの車はスリップしたトラックに激突されたんだ。
何となく、覚えてるか？」


そうだ、

雨が降っていた。


それで、


少女に出会った…。


「覚えてます」


鮮明に……




「しばらくは安静にして、徐々にリハビリを始めましょう。」



音だけの世界。



「有川社長に目を覚ましたと伝えてくる。随分心配して下さったからな…」



父の声…








静かな病室で


要は身を横たえる。




音が

いつもよりよく聞こえる───


機械の音



人の話し声



風に揺れるガラスの音



……光は？



どこまで行っても


この闇が続くのか……？



要は光を失った。




一目で真希に恋をした、その日に──