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近くて遠い

第35章 現在と過去

───────二度と俺の前に現れるな





冷たく放たれた言葉。



すべての出来事が虚構だったと知って苦しかった理由は、

私が光瑠さんに惹かれていたから…。




あの日々を

あの人を

忘れてしまえば…



もう一度要さんを


好きになれば…



私は幸せになれるのかもしれない。



でも



この強い想いを忘れられる日が来るとは



到底思えない──




ふと、
地面に伸びた影をみて、私は顔をあげた。




「藤木真希か」




聞き覚えのない年配の男の声。



涙で歪んで顔がよく分からない。


「……はい。」





そう返事をした瞬間


いきなり口と鼻を布で塞がれて、


訳も分からぬまま私は意識を失った。

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