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近くて遠い

第36章 目覚め

「社長……



目を覚ましていただきたい…


でなくては、」




僕がここに来た意味がない────



要の呟きに光瑠は目を見開いた。



あぁ……


「……真希…っ…」




そう呟く光瑠を見ながら、古畑は棚の方に歩いていき、小さな箱を手に取った。




「もう……

開けましょう…

でないと、一生このままです……」



古畑は、
手に取った小さな箱を

光瑠に手渡した。



それは、
開けようとして幾度となく思い止まった
悠月の遺品の入った箱だ。


光瑠はその箱を

古畑から受け取って

じっと眺めていた。



一生このまま………




それは……



いけない……。



前に


進まなくてはならない…




いや



前に




進みたい────






光瑠は


震えながら、



その箱の蓋を



外した。





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