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近くて遠い

第41章 けじめ

───────…


「ほっ…本当に狭いですし、汚いですよっ…」



「……別に構わない」




そう答える光瑠さんの真剣な顔に私ドキドキしながら、鍵を差し込んだ。




『愛してる』と


ずっと言って欲しかった言葉を言われ、しばらく抱き締め合ったあと、



光瑠さんは急に私の腕を掴んでどこかへ向かい出した。



咄嗟の事に訳も分からず、どこに行くんですかと尋ねたら


『けじめだ』


とだけ言って私を強引に車に乗り込ませた。





そして今、



私と光瑠さんは私のアパートの前にいる。


私は鍵を回しながら、
色々なことを考えていた。

明日引っ越すから、家は段ボールだらけだし…


それに…


うちは光瑠さんの部屋より狭いし、

本当に狭いってことがちゃんと伝わっているのか…


この時間だから、
隼人もお父さんもいるし…



「大丈夫か?」


あんまり鍵をゆっくり回しているので、光瑠さんが不思議そうな顔で私を見てきた。


「あっ…すみません…」



でも、

『お前の家に連れてけ』って光瑠さんが言うから…



仕方がない…




「じゃあ、入りますね…」



そう言って私は不安な気持ちでうちの扉を開けた。

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