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近くて遠い

第41章 けじめ

「謝らなくてはいけないは僕の方だっ…!!!」



お父さんはそう叫びながら、光瑠さんの肩を掴んで顔を上げさせた。



「いやっ…僕はっ…」



尚も顔を下げようとする光瑠さんを見ながら、お父さんがボロボロと泣き出した。


「僕だってっ…
真希をっ…
いやっ、真希だけじゃないっ…家族を大いに苦しめたっ……

全ての元凶はこの僕だっ…」



光瑠さんはお父さんの言葉を聞くと、

目を見開いてその様子を黙ってじっと見つめていた。



「有川さんは…

真由美の…っ…

僕のせいで体調を崩した妻の治療までしてくださったっ……


今日も真希を助けてくださって…


なのに僕に謝ることなんてないっ…


謝るのは僕の方だっ…」




「もう…


もういいから…

二人とも

もう謝らないで…」


私は
静まり返った二人の間に入った。


そして震えるお父さんの背中を擦った。



「お父さん…
もういいって…
この前そう言ったでしょう…?
お願いだから…
泣かないで…?」



お父さんは濡れた瞳で
私を見つめた。


私はにっこり微笑むと今度は光瑠さんの方を見た。



「真希…」



床に置かれた大きな手の上にそっと自分の手を重ねる。



「光瑠さんも…
謝らないでってさっき言ったばかりじゃないですか…」


私がそういうと、
光瑠さんは再び唇を噛みしめて、うつ向いた。


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