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近くて遠い

第43章 上司と部下

コンコン──…


とノックの音がして、近くにいた要が扉を開いた。



「っ…!?要さんっ…!?」


「…!?」



現れた真希の姿に
要は驚いた。



お互いに慌てながら見つめあう二人を
光瑠は少し不安になりながら、見守っていた。



「……こっ…こんにちはっ…」


どうしてよいか分からぬ様子で声を掛ける真希を見て、要は、フッと笑って優しく微笑んだ。




「そんなに怯えないで下さいよ…」



酒田も冷や汗をかきながら、三人の様子を見る。




「ごっ…ごめんなさいっ…」



真希はすかさず俯きながら、色々な意味を込めて謝った。


「……謝らないでください。」


優しく笑いながら、要は真希の顎を掴んでクイッと上に向かせた。



「でっ、でもっ…」



罪悪感に苛まれる真希は戸惑いながら、要を見つめた。



「僕はあなたに出会えて良かったです。

あなたとの時間はとても幸せだったし、

闇の中でさまよっていたときも、たくさん勇気をもらって……

目が見えるようになったのもあなたのお蔭ですしね。


だから、謝ることはない。」



ニコッと要が笑った。



「要さん……」




真希は要の優しい言葉に、軽く微笑みを返した。




光瑠は切な気に二人の様子を見たあと、安堵の溜め息を小さく洩らす。



「でもね……」




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