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近くて遠い

第43章 上司と部下

「あぁっ…
関根さん、やっぱかっこよすぎますよっ…
僕、今キュンってしました。キュンって。」



「……お前、俺の半径5メートル以内に入るなよ」



要は顔を引きつらせながら、酒田を見た。



「いっやぁ…本当に…
僕、関根さんになら、抱かれても──」



「おいっ!!気持ち悪いこというなっ!」


要が声を上げて立ち上がると、酒田は滅多にみせない要の慌てた様子を見て笑った。



「さぁ、
仕事しましょうか、"副社長"」


笑いで出た涙を拭いながら酒田が言った。


すると、
腕を組んで顔を歪ませていた要の口角が微かに上がった。



副社長か…



「慣れないが…
中々いい響きだな。」


ニヤリと要が笑った。



仕事人の要の血が騒ぐ。




期待に応えようじゃないか──




要は、
そう強く心で意気込むと、酒田と共に颯爽と部屋を出た。



社長、有川 光瑠
副社長、関根 要



有川商事もまた、
新たなスタートを切ったのだった。

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