テキストサイズ

近くて遠い

第45章 近くて…

─────────…


澄み渡る青空の下、


私は合わせていた手を下ろして一人微笑んだ。



「任せてください。」



ポツリとそう呟くと、

ケラケラと隼人の笑い声が聞こえる方に振り返った。



「なっ…!だから、砂をかけるなと言ってるだろうが!」



ワイシャツの袖を捲りながら、光瑠さんと隼人が土を掘っている。



「あぁ、光瑠さん、顔に土が付いてますよ…」



私は笑いながら、駆けよって土のついた頬を見つめた。


「ん」


頬につき出した光瑠さんの隣にしゃがんで、私はそれを払った。



「……随分長かったな。」


土を払い終えると光瑠さんが私がさっきまで手を合わせていた悠月さんのお墓に視線を移した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ