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「あぁ…………」




膝をついて崩れる私を見ながら、



夕夏さんは楽しそうに傘の骨を一本一本折っていった。



「ふふふ。
調子に乗っているからいけないのよ。」




そこに立っているのは


悪魔……？




傘が壊されるのと同時に、

私の心にあった何かも

無惨に壊れていく音がした。




「はーーい！みんなそろそろ時間だよ！スタイバイしてー」




しーんと静まり返った中


外から拓也さんの声がした。




「「「はぁぁい」」」



何事もなかったかのように返事をする女たちが、


次々と部屋を出て行く。




床に手をついてぶるぶると震えていると、

ポタッと

床に涙が垂れた。



「今日も有川様のお相手頑張ってねぇ。」



降り注がれた言葉が


私の胸を貫く。



悔しい…


なんで…


どうして…



色んな想いを胸に私は夕夏さんを睨み付けた。




「あ、これ、あなたのっておっしゃった？はい、返すわ。」



夕夏さんはそういうと、

骨がむき出しになりぼろぼろの傘を私に投げ付けて、部屋を出ていった。



「う……うぅ…うぁっ…」



１人になった部屋の中で


私はボロボロと涙を流した。



泣くのは好きじゃない。


悲劇のヒロインになりたくはない。


そんな暇は私にはないのだ。


でもっ…


それでも


抑えることが出来ずに無情にも涙は流れて止まらない。



お金を奪われて
お母さんとの約束を破ってまで、夜の世界に身を染めた。

にもかかわらず、
お母さんの治療費もまともに出してやることも出来ず、日に日に弱るお母さんをただ見ているだけの生活。



そんな中で

私とカナメさんを繋ぐ大切な傘だったのに…

たったひとつの光だったのに…。





無惨な姿となった傘を掴みながら


私は枯れてしまうのではないかと思うほど、


涙を流した。