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──────…


「酒を入れろ。」


「はい…」


次の日、
有川様は言った通りradiceにきていつものように、私を指名した。



いつ契約の話になるのかとびくびくしているせいで、慣れたお酒作りも手が震えて上手くいかない。



「どうぞ…」


辛うじて出来上がったお酒のグラスを差し出すと、有川様は何も言わずにそれを受け取って一気に飲んでしまった。



「ふ……

それで、一応聞こうか、答えを。」



ついにきた…



顔を伏せてグッと拳を握ると、フワリとお酒の香りが鼻を掠めた。



「その様子だと、決めたようだな。
まぁ、お前に選択の余地はないのだから、当たり前のことだ。」



お酒の匂いを漂わせ、
勝ち誇った顔を私に近付けた。


「あの……本当に私なんかにそんな大金を払ってくれるんですか…」



気に入ったと言っていたけど…いくらお金持ちでもそれだけで私に三千万も払うだなんて、正直疑問があった。


騙されていたら…
ただの冗談だったら…



「気丈だったお前も、結局金の前では無力だ。
三千万というはした金で悔しそうなお前の顔を見れるなら安いもんだ。」


「っ……」



歪んでる…


彼にとって、
これは戯れでしかないのだ。


三千万を払って
私の人生をまるでゲームのように…



そんな考え間違っているのに、抗えないのがたまらなく悔しい。



こんなに横柄な人の言うことに従わなくてはいけないなんて…




「母の……母の治療はすぐにしていただけるのでしょうか…」


「あぁ。
これは契約だからな。
すぐにうちに荷物を運ばせよう。
だが、反抗するような真似をすれば…
分かってるな。」



力強く顎を持たれ、無理矢理上を向けられる。



お金さえあれば……

こんなこと……


「っ……分かっています…従います…」