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近くて遠い

第11章 歪み

─────…



「はぁ…」



有川 光瑠は


真希と古畑の去った部屋で大きく息を吐いた。




やり場のない想い



大切にしたいのに壊したい



この気持ちが何なのか



光瑠はよく分かっていなかった。



そして



分かりたくないとも思っていたのである。



「ふっ…」


滑稽な自分につい笑いがこぼれた。



受け入れられないのに


自分の手元におきたい



矛盾した気持ちが心に渦巻いて

戸惑いとなって露呈していた。



ソファーから立ち上がって自分の机のイスに座った。


鍵のかかった引き出しを開け、一枚の写真を取り出す。




「悠月(ゆづき)……」


写真の中で永遠に微笑む少女に光瑠は優しく呼び掛けた。


─────光瑠、大丈夫。私がいるでしょ?




目を瞑ればいつでも
悠月が甦る……




あれから3年か…

俺は全く進んでいないな…


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