
あなたがいてくれたから。
第8章 水のないプール
俺は無言で奈美の腕を掴んで小道に入った
「ちょっと、斗真君っ?!」
もう、夜遅いから人通りも少ない。
俺は無理矢理、奈美にキスをした。
あんな、泣きそうな表情されちゃ
いてもたってもいられねーっつーの。
もっと、守ってやりたい。
もっと、長く一緒にいたい。
もっともっと、奈美に触れたい。
「…ッ……斗真君っ………長ぃ…ッ…」
「斗真君っ!」
っ!
つい、夢中になってた…
「ぁ、ごめん……。」
「ううん、謝らないで?
あたし、凄く嬉しかったから。
信じてくれてるんだって思えて。」
「奈美……」
「ぁ、もうこんな時間だから
そろそろ帰らなくちゃ。」
奈美は、また無理矢理笑顔を戻した。
そんな、作り笑いしなくてもいいのに…
俺じゃ笑顔にできねーのかよ。
ダメだな。俺。
「ぁ、送ってくよ。」
「本当?ありがとー♪」
