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そして僕等は絡み合う

第4章 人見 聡右の場合

カゴをレジに持って行くと西垣さんは、黙々とバーコードを読んでいく。


食事に行った時は、髪を下ろしてて見えなかった耳元が、バイト中はシュシュで髪をまとめてるから、良く見えた…。


今度は、シュシュとかプレゼントしてみるか…。


耳たぶで光るピアスに、胸が少し痛くなる。


何だろう…この痛みに、苛々してしまう。


「1032円です。」


無愛想に言ってくる態度に、少し不愉快になりながら1052円渡し…
そして…一言、言ってしまう。


「ピアス…気に入ってるんですか?」


「なっ!ピアス?」


耳元に手をやり、慌てる西垣さん。


単に…取り忘れか?


「おつり…下さい…。」


明らかに、ムッとして


「20円のお返しです!」


受け取って財布に入れると、10円玉は6枚になった…。


言わないと…その為に来たんだから。


ジッとしてる自分に西垣さんは怪訝に声かけた。


「人見さん?」

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