テキストサイズ

僕の初恋。

第7章 僕なんて…

唯月Side


「……悠人っ…はるっ、と…、うっ…」

悠が泣いている。
その肩を雄井が支えている。
俺は…?
涙は…出てない。
悲しくないのか?
違う。そうじゃない。
そうじゃなくて…

「悠…本当にすまん!」

俺には流す涙なんて無いんだ。

「っ…先生のせいじゃ…ないですよ…」

息を整えながら俺に笑顔を向けてくる。

「…んで………何でお前ら兄弟はいつもそうなんだ!」
「!!」
「何で辛いのに笑うんだ!?お前が今辛い思いしてるのは俺のせいなんだぞ!?……お前らは…いつも…人の事ばかり考えて…」
「違うよ。先生」

膝から崩れ落ちた俺の肩に手を置いて、悠は優しく呟いた。

「…俺らがいつも笑っていられるのは愛する人がいるからなんだ。自分が今辛い思いしているのを他の人のせいになんかしない。愛する人が笑ってくれるのなら…辛くたって我慢する。悠人も…先生がいたから…ね?」
「…っ」

だめだ。
涙もろいな、俺。
悠人に言われてるような気がしてならない。
そうか…そうなんだな…
じゃあ…次は
俺が我慢するから
悠人が起きる頃には惚れ直すような男になっておくから
だから…待ってる。


悠人…

ストーリーメニュー

TOPTOPへ