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やっと、やっと…

第9章 暗い闇の中


私のその行動に
智己の胸が大きく高鳴ったのが分かった





「・・・っ唯」





智己はそう言うと
私を強く抱きしめた






息が止まりそうなほどの力に
身をよじる





「・・・っ苦しいよ・・」








そう笑いながら言って智己を見上げると












ちゅっとかるく音を立て
私の額にキスをし
優しく微笑み私を見つめた





「ーーーー!!」











いきなりの智己の行動に
驚きと恥ずかしさで硬直してしまう








その様子を見て、
智己が笑う




「ごめんごめん、つい、かわいくて…」








そんなことを言いながら
智己の顔は赤く染まっていた







「俺さ、

ずっと、小さい頃から
唯のこと見てた


俺は唯が幸せならいいと思ってたから
見守っていようと思ったけど



俺なら誰よりも大事にできるよ







だから唯、



俺と一緒にいて」






私を抱きしめたまま
ゆっくりと優しい声で智己が言った








大きな広い胸の中で
心地よい胸の音を聞きながら





私は一度だけ大きく


頷いた






そして私も、彼を、
強く抱きしめ返した
























誰もいない夕方の帰り道





木の隙間からのぞくまだ明るい太陽が
ふんわりと、優しく私達を照らした











これで闇から抜け出せる、
そう感じさせるように





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