テキストサイズ

花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第3章 春の夢 参

 やり切れなさがほろ苦く湧き上がる。
「お願いだから、そんなに怖がらねえでくんな。俺は何もお前をどうこうしようなんていうつもりはこれっぽっちもねえんだ。ただお前さんが幸せでいてくれればそれで良いと思ってるんだ。何しろ、あのときは、ひどく辛そうにしてたから、あれからどうしてるか、また、あんな風に泣いてるんじゃねえかと気になってたんだ」
 清七の言葉に、お須万の美しい顔が色を失った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ