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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第3章 春の夢 参

「お須万さん、あんたは何か勘違いをしているようだ。俺は今更何を言うつもりもねえよ。もし、お前が俺をそんな風に思っているのなら、それはとんだ了見違いだ」
 そこまで言ってから、清七は、ふと訝しく思った。
 先刻から、お須万は右手で必死に帯の辺りを隠そうとしている。清七の視線が真っすぐにお須万の腹部を捉えたその時、彼は自分の見たものが到底、俄には信じられなかった。

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