 
花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第12章 山茶花~さざんか~ 其の弐
 その時、千汐の脳裡にふと閃くものがあった。
「思い出した。あたしのおとっつぁんは元々は漁師の倅だったの。それが江戸に丁稚奉公に出てきて、あたしのおじいちゃんに当たる人に見込まれて、聟に入ったのよ。だから、おとっつぁんも物心ついた時分から、舟に乗せて貰って、実際に漁にもついていったことがあるって。江戸に出て、商人になるために辛いお店奉公を始めても、子ども時代を過ごした海辺の生まれ故郷の村のことが忘れられなかったみたい。
「思い出した。あたしのおとっつぁんは元々は漁師の倅だったの。それが江戸に丁稚奉公に出てきて、あたしのおじいちゃんに当たる人に見込まれて、聟に入ったのよ。だから、おとっつぁんも物心ついた時分から、舟に乗せて貰って、実際に漁にもついていったことがあるって。江戸に出て、商人になるために辛いお店奉公を始めても、子ども時代を過ごした海辺の生まれ故郷の村のことが忘れられなかったみたい。
 
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