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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第2章 春の夢 弐

 清七は魂を抜かれてしまったかのように、いつまでもその場に立ち尽くす。
 通りを歩いてゆく若い男女の二人連れが不審そうな顔で何やら囁き交わしながら、清七の方を見て通り過ぎてゆく。
 卯月もそろそろ終わろうとするある宵のことだった。

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