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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第2章 春の夢 弐

 亭主に先立たれた後、お須万は女一人で伊勢屋の身代を守り抜き、現在、伊勢屋はやり手と称された先代のときよりも更に手広く商いをしているそうだ。〝みやこ〟から一緒に出てきた信濃屋惣兵衛はやはり同じ呉服太物問屋で、慎之助の実家佐野屋とは親戚に当たる間柄でもあり、慎之助が二十二の若さで突如として逝った後、親身になって何くれとなくお須万や伊勢屋の力になったとのことである。

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