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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第2章 春の夢 弐

 それが三年前に大切な女房と子を続けざまに喪ってからというもの、端整な男ぶりに更に濃い愁いが加わった。若い娘たちにとっては、その翳りのある苦み走った男ぶりに更に磨きがかかったように見え、たまらないらしい。
 それでも、清七は、言い寄ってくる女たちには少しも心を動かされなかった。

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