花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第13章 山茶花~さざんか~ 其の参
「でも、あたしは、あんたにはそんな風なって欲しくはないんだよ。あたしのようにいつまでも見果てぬ夢を見続けて、来もしない男を待つことで、あたら花の年月を無駄にして欲しくない。悪いことは言わないから、眼を覚ましな。この世に夢物語なんて所詮は存在しやしない。夜鷹に真心を傾けてくれる男なんぞはどこにもいないし、あたしたちは夢を信じちゃいけないんだよ。夢を現だと勘違いした女は結局は不幸になっちまう。あたしは、あんたがみすみす不幸になるのを見たくはないから」
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