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陽だまりの仮面 -嘘-

第8章 夕陽と泪味 ②

「琉愛?どうしました?」


急に繋ぐ手に力を入れたから、花木君は立ち止まり、クルッと後ろを振り向いたけど



「ううん、ちょっと躓いちゃって…」



左手を左右にブンブン振って笑いながら誤魔化し。



「気を付けてください?」


「はぁい」



再び歩き出した花木君について、あたしも歩き始める。


あたしの1歩前を背筋を伸ばして歩く花木君の背中を見つめながら




………もし。



あたしが、花木君の事、ずっと好きだったなんて言うとどんな反応するだろうか。



“琉愛は弱い女性なんで”



あたしが、実は性格も口も全て悪い女だと知ったら…


花木君の優しさに触れるたびにドンドンドンドンと溢れ出す“好き”の気持ち。

だからこそ、思う。



花木君の、彼女になりたい。



……でも、“偽り”を取る事も、怖い……




様々な感情が胸の中を出たり入ったり。

胸が騒がしく痛くて痛くて、苦しくて苦しくて……怖くて……



彼の背中を見つめる視界が、揺ら揺らと揺れ、滲んだ。





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