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I'll protect you.

第35章 遊園地




何も言わずに私の手を引きながら一歩前を歩くコウキ君


途中、やってくるお化けに


「すいません。出口どこですか?」


と、聞く始末……


さっき怖がってたコウキ君はどこへ……?



『コ、コウキ君…

あの…お化け怖くないの?

さっきまであんなに怖がってたのに……』



すると、コウキ君は私の手を握る手に力を入れた



「……そりゃあ、怖いさ。

でも、ユウがいるから怖がっていられねぇ…

たかが、お化け屋敷でもユウが泣くのは嫌だ」



コウキ君は友達で昔と変わらずに私に接してくれていた。



でも、今私の前を歩く彼は



もうあの頃のコウキ君ではないんだ……




「ユウ、出口だ。

シンのところに早く行きなよ。

さっき俺とシンを間違えたろ?」



コウキ君の言葉が図星すぎて一瞬ドキッとしながら俯くと、コウキ君の手が私の手から離れた。



「ほら、行け」



出口で、コウキ君に背中を押され扉を開けるとそこには出口の看板の前で心配そうな顔をしている大好きな人




『シン君……』




私が出てくると、シン君は一歩また一歩と近づいて来て私の頬を手で覆った。





「そんなに怖かったの?」





『……うん、怖かった』





どうしてかな?




目の前には大好きなシン君




さっきまで会いたくて仕方なかった




でも、嬉しい気持ちと



何故か寂しいと思う気持ちが私の中にはあった。





「こいつ、怖すぎて一人で走って逃げたんだぜー」




笑顔で話すコウキ君






さっきのコウキ君は誰?







それから四人で観覧車からの夜景を堪能して、その日はみんなでシン君の家に泊まった。




高校生になって初めて四人でのお出かけは、なんだかモヤモヤとした気持ちが残ったまま幕を閉じた。





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