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禁断兄妹

第10章 時は流れて


「柊兄ー、今日終わったら、飲みに行くでしょー?」


スキップのリズムで駆け寄ってくる足音
振り返らなくてもわかる。

親友の高木和虎(たかぎかずとら)

同じモデル事務所に所属している。

もちろん男
私生活では女言葉を連発するゲイだ。

俺達はよく二人で飲みに行っていた。


「あー、悪い。今日はだめだ」


「えー、マジで」


「うん、又今度な」


「むうー」


和虎は頬を膨らませる。


「女子か。しかも可愛くねーよ」


初めて和虎に会ったのは
高校一年の時

同じ雑誌に読者モデルとしてよく呼ばれていた俺達は
年が同じだったこともあってすぐに打ち解けて
そのうち撮影以外でも二人でつるむようになった。

和虎は幼い頃両親が離婚して父子家庭
俺は生みの母親を亡くしている。

境遇が似ていたこともあって
共感し合えることも多かった。

和虎は幼い頃から苦労してきたせいか
俺に劣らず冷めてるところがあるけれど
いい奴だった。

俺達には親友のような
腐れ縁のような
不思議な絆が生まれた。

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