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禁断兄妹

第33章 熱帯夜 ~ひとつになる夜~


コンコン‥‥


お兄ちゃんの部屋のドア
深呼吸を何度も繰り返してから
ようやくノックした。


「‥‥」


しんと静まりかえった家の中
ドアの向こうから声が聞こえたような気がして
私はそっとドアノブに手をかけた。


「お邪魔します‥‥」


細く開けたドアの隙間から顔だけ出してみる。

私の部屋と同じ照明が天井についている部屋
その明かりが最小に抑えられてる
仄かに明るい空間

でも
お兄ちゃんの姿がない

身体を滑り込ませ
後ろ手でドアを閉めながら中へ

綺麗に整えられているベッドの前を
そわそわしながら通り過ぎる。

きっとあそこにいるんだ

加速していく胸の高鳴り
私はバルコニーへ通じる大きなガラス窓を開けた。

ふわり
タバコの匂い

お兄ちゃんは
手すりのところに片手で頬杖をついて
既に私を見ていた。

ドキン

心臓が跳ね上がる。


「‥‥風邪、ひく‥‥」


ドキドキし過ぎて
うまく言葉が出てこない。


「熱いくらいだから、平気」


お兄ちゃんが微笑む。


「さっきもそんなこと言って‥‥」


私は裸足のまま外に出た。

私の部屋にはないバルコニー
夜景が綺麗


「おい足‥‥よせ、身体が冷える」


お兄ちゃんは指に挟んでいたタバコをひと吸いした後
横を向いて煙を吐き出しながら
その火を消した。


「平気‥‥」


「俺が平気じゃないよ」


お兄ちゃんは私に歩み寄って
すっと屈み込むと私のお尻の下に両腕を回して
一気に立ち上がった。


「きゃっ」

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