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禁断兄妹

第35章 一人じゃない


「はい、柊君座ってっ」


美弥子が泣き笑いの顔で俺に椅子を勧める。


「ありがとう」


でも俺は椅子には座らずに
立ったまま父さんと向かい合っていた。


「‥‥お茶、入れてくるわね。萌、手伝って」


「うんっ」


気を利かせたのか
美弥子は萌を連れて部屋を出て行った。

遠ざかる足音
父さんは黙ったまま俺を見上げている。

静かな眼差し


「父さん‥‥あの日‥‥暴力をふるったこと、暴言を吐いたこと、心から謝ります‥‥すみませんでした」


俺は深く頭を下げた。

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