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禁断兄妹

第35章 一人じゃない


謝ろうと決めていた訳じゃなかった
会って何を言うのかさえ決められないままここに来た。

けれど父さんの前に立った今
謝罪することも
頭を下げることも
本当に自然なことのように思えた。


「見舞い、ずっと来なくて、ごめん」


顔を上げて
精一杯普通の声を出した。


「今ここにいるじゃないか‥‥それで十分だよ」


俺に向けられる笑顔が
見たこともないほど優しくて
儚げで

軋むような胸の痛み

俺は奥歯を強く噛み締めた。

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