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禁断兄妹

第38章 あなたを助けたい


思わず一歩ドアに近づいて手を振るけど
手を振り返す柊の姿は建物の陰に隠れて
あっという間に見えなくなってしまった。

さっきまでの楽しいおしゃべり
甘い言葉
夢だったみたいにあっけない。

人目のあるマンションの前だからわざとそうしてるって
わかってる。

わかってるけど
寂しい。

私はぼんやりと立ち尽くしたまま
柊のコートの感触が残る右手をポケットに入れた。

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