
Take me
第13章 13
「紘夢、帰って来る気はないのかい?」
名前…
真剣な表情で話すお兄ちゃんに、心がドキッと高鳴る。
「俺は…帰らないよ。此処に居させてもらう。」
「いつまでも瑛士くんの家にお世話になる訳にはいかないだろう?それに未成年だけで同居じみた事…トラブルに巻き込まれたらどうする?」
なんだ。
俺を戻したい理由はそれか。
ちょっとだけ、ほんの少しだけ期待した自分が本当に阿保だ。
どこに期待できる所があったんだろうか、と三十秒くらい前を思い返す程に。
でも、もしかしたらって…
俺の心は本当に懲りないみたいだ。
「なんで?そんなに心配するの?」
「そんなの、決まってるでしょ?
家族だからだよ、弟だから。」
そう、俺はお兄ちゃんの弟
それ以上でもそれ以下でもないの
それは一生、変わる事のない真実
そんなの分かってる
つもりでいただけだったんだね、俺は。
