
隠れて甘いkissをして
第19章 資料室
資料室はフロアが異なるので、エレベーターに乗って移動する。
その間、立花は何も話さない。
私もあの日の事を引きずっていて、何から話せばいいか分からないから
黙って立花の後を歩いていた。
資料室の鍵を開けて、ずらっと本棚が並ぶ奥の方へと入っていく。
私は書類を戻しながら、沈黙に耐えきれずに話を切り出した。
「……立花、この前はごめんね。
勝手に先に走って帰ったりして」
このまま、立花と気まずくなるのは嫌だった。
私にとって、唯一心を許して話せる同僚だもの。
前みたいに、気軽に飲みに行ける仲に戻りたい。
