
隠れて甘いkissをして
第29章 不穏な通告
「ちょっと、そこのあなた」
声のした方を振り返る。
………見た瞬間、ドキッとした。
私を呼び止めた女の人は、長身ですらっとした体に、胸が強調される真っ赤なワンピースを着ている。
麦わら帽子の下から栗色の長い髪を揺らし、大きなサングラスをしていて、異常なくらい顔が小さいのが分かる。
ヒールをコツコツ鳴らして、ゆっくりと私に近付いてきた。
「……………」
何も言わずに、サングラス越しに私を上から下まで見ている。
な、なに…?
気味が悪くて、恐る恐る聞いた。
「あの……なんでしょうか……?」
