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息もできない

第15章 謝って欲しいわけじゃ

「愛してる」


呟くようにそう言うと直はもぞもぞと動いた
俺の頭にそっと手が触れて長い指で髪をすく



「はるひ……?」



あぁ
やっと直の可愛い声が聞こえた


俺は直の腰に抱きついた


なんか女々しいな、俺


でもそんな俺を咎めることもなく直は俺の頭をずっと撫でてくれる
嬉しくて俺が頭をすり寄せると


「ふふ、くすぐったいよ、春陽」


直も嬉しそうに返してくれる
でもその声は明らかに枯れていて普段の心地よくてよく通る声を俺が潰したのかとか思うとまた後悔の波が押し寄せてくる



「ーーごめん、直」
「ぇ……?」
「無神経で、ごめん」


俺が素直にそう謝ると暫らく沈黙が続いた


俺が不安でいたたまれなくなってまた謝ろうと口を開いた瞬間俺の頭にぽたりと何かが落ちた

それは1度ではなくて連続して何度も落ちる


「……っく…ひ、く……っ」


直は泣いていた

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