テキストサイズ

息もできない

第23章 今度は俺?

仕事が終わったら基本的に誰からの誘いも断って家路につく


帰る場所は暫く住んでいたアパートではなく、マンション


カバンの中から鍵を取り出して鍵穴に差し入れる
カチカチカチ、と鍵の溝が鍵穴にハマっていく心地いい音がして、鍵を回すと軽快な音とともに家の鍵が開く


そしてドアを開ける


この瞬間がすごく好き


「ただいま!」


今までだったら誰もいない家の中に声を掛けると


「おかえり、直」


と返してくれる声がする
この感じ
幸せ
本当に春陽と一緒に住んでるんだって実感する



靴なんて適当に脱ぎ捨てて廊下を小走りで抜けてひょこ、と顔を出した春陽に半分体当たりをするように抱きつく


「ぅにゅーー」


強く抱き締められて変な声が出たけど仕方ないよね
だってこんなに幸せなんだから


耳元で春陽が柔らかく笑う


「ふふ、変な声出てるよ直」
「ん…いいのー…」


春陽の匂いを堪能して顔を上げると相変わらずの整った顔が見える


もう!
この角度もかっこいい!


「晩御飯なあに?」
「なんだと思う?」
「んー…?煮物?」


ご飯は春陽が作ってくれてる

朝ごはんは俺が担当で
お弁当と晩御飯は春陽

ストーリーメニュー

TOPTOPへ